Coleoptera 甲虫目
Polyphaga カブトムシ亜目(多食亜目)
Staphyliniformia ハネカクシ下目
Staphylinoidea ハネカクシ上科
Staphylinidae ハネカクシ科 ←ココ!
Aleocharinae ヒゲブトハネカクシ亜科
ハネカクシ科Staphylinidaeは前翅(ぜんし)が著しく短く,その下に長い後翅(こうし)を幾重にも折り畳んで収納し,結果的に腹部が露出するという独特な形態的特徴をもつ種が多いことから,「翅隠(はねかく)し」という特異な和名が付けられた分類群として知られている.ハネカクシ科はこのような変わった特徴を備えているが,カブトムシやカミキリムシなどと同様に甲虫の仲間に属しており,32亜科(コケムシ亜科を含む:日本産ハネカクシ科は21亜科)から構成されている.
この一群は極寒の極地方から熱帯地帯に至るまで,世界中からこれまでに5万5000種が知られる動物界最大かつ最も多様な科として知られている(Grebennikov & Newton, 2009).この数字はゾウムシ科と肉薄するが,ゾウムシ類より人の目に付きにくい環境に生息することから,ハネカクシ科の包含する膨大な種数を把握することは困難である.また,熱帯に生息するハネカクシの75パーセントが未記載種であると言われている他,動物相の調査が進んでいるイギリスや北アメリカなどでは最大の科としても知られており,他の地域でも膨大な種が潜在的に生息している可能性がある.実際に,世界中から年間400種ほどの新種が記載されている(Newton et al., 2001).日本からも多くの種が知られており,2011年4月20日の時点で396属2173種48亜種が記録されている(柴田, 2011).
その多様性は食性だけでも多岐にわたり,食植性,食腐性,食肉性,さらにはアリやシロアリなどの社会性昆虫と共生する種までも認められ,分布域も垂直的には海岸から高山帯に至るまで極めて幅広いことが判明している(柴田・渡辺, 1985).
このように非常に巨大かつ多様な分類群であるにもかかわらず,研究者の不足から応用研究の基盤となる分類学的研究が遅れており,それに伴い行動学的研究や生態学,系統進化学といった応用的な研究があまり進んでいない.
ハネカクシ科の概要に関する日本語の情報については意外にも入手することが困難であることから,以下に形態的特徴などを含めて詳細に記しておきたい.
細長い体型をしている種が多いが,分類群によっては卵型や逆三角形状など多様な形態をした種が含まれる.前述の通り,大部分の種は前翅(上翅)が短く,その下に後翅が複数回折り畳まれて収納され,その結果として腹部の大部分が露出する.また,多くの種は効率的な後翅をもち,飛翔することができる.飛翔後は後翅を短い上翅の中にうまく折り畳んで収納し,元の後翅が隠れた状態に戻る.腹部が露出する種は柔軟性をもち,腹部を様々な角度に曲げられる.デオキノコムシ亜科やコケムシ亜科といった一部のグループでは上翅が長く,他の甲虫とよく似た体型をしているものもいる.
Newton et al. (2001)は,ハネカクシ科の代表的な特徴として,以下の点を述べている.とはいえ,非常に巨大なグループであるので,例外も数多く存在する.
一般的なハネカクシ科の特徴
・短くて先端部が裁断されたかのような上翅(じょうし).短い上翅によって半分以上も露出した腹部.視認できる6もしくは7枚の腹板(ふくばん).近接するそれぞれの前基節(ぜんきせつ).
アリヅカムシ亜科の特徴
・硬化して柔軟性を欠く腹部.視認できる通常5枚の腹板.小型な体型.独特な球桿(きゅうかん)状の触角(変異有り).
他のデオキノコムシ亜科,ニセマキムシ亜科,コケムシ亜科などの特徴的な亜科は体型だけで識別が可能である.
黒色や茶・黄・赤褐色などの地味な色彩を呈する種が多いが,中には全身金属光沢を有する種も存在する(e. g., Eulissus chalybaeus Mannerheim).また,上翅や前胸背板(ぜんきょうはいばん)などに部分的であるが,黄色や赤色などの暖色を呈する種も複数知られている.その他にもキンボシハネカクシOcypus weisei Haroldのような部分的に金色の毛を密生して模様を形成する種もいる.ヒゲブトハネカクシ亜科は茶褐色をした種が多い.
成虫の体長(Body Length: BL)は種によって大きく異なり,0.5ミリから50ミリまで変異があることが知られているが,多くの種は3ミリから6ミリ程度である(Klimaszewski, 2000).
また,種内における体長差が激しい分類群も知られており,例えばヒゲブトハネカクシ属Aleocharaの中には5倍近い体長差が存在する種も包含される.ハネカクシ科の中には腹部が蛇腹(じゃばら)のような柔軟性をもつ種が多く含まれており,これらは腹部が容易に伸び縮みすることから,正確な体長を測定するのは困難である.このような種の場合,体長の概要を知ることには大変意義があるものの,あくまでも体長は参考程度の測定値となり,頭部や前胸背板,上翅等といった伸び縮みが少ない部位の測定が特に重要となる.なお,標本となった個体は生存時と比較して全長はやや縮む.
ここでは成虫の形態についての詳細を述べたい.より詳細な情報を求めている方は参考文献として挙げているKlimaszewski(2000)やNewton et al.(2001)などを参照して頂きたいと思う.
ハネカクシ科は種数が膨大であり,しかも様々な環境に適応していることから,その形態も極めて多様であることが知られている.多くの種は細長く腹部の一部を露出させる形態をしているが,本科には例外もかなり含まれる.例えば,極端に細長い種や円筒形の種(ツツハネカクシ亜科),平たい種(ヒラタハネカクシ亜科,セスジハネカクシ亜科など),分厚い分類群(ヒゲブトハネカクシ属)もいる.また,アリヅカムシ亜科のような小型で柔軟性に乏しい腹部をもつ分類群,樹皮下に生息するクロツヤハネカクシPriochirus japonicus Sharpに代表されるような頑強な体型の種も知られている.さらに,デオキノコムシ亜科やコケムシ亜科などのような楕円形をしている種を多く含むグループもいる.毒を有するものもおり,人為的攪乱地でも多く見られるアオバアリガタハネカクシPaederus fuscipes Curtis (アリガタハネカクシ亜科)は特に著名である.本種の分泌液にはペデリン(Pederin)という化学物質が含まれており,これに触れると線状皮膚炎が生じる.
変わったものにはアリやシロアリといった社会性昆虫と共生関係にある種がおり,それらは社会性昆虫の巣という環境下に適応した特異な形態を有する場合がある.体表に棒状の突起を有する種も複数確認されており,日本では塩田などに生息するオオツノハネカクシBledius salsus Miyatake (セスジハネカクシ亜科)が代表例である.キノコなどに来集するオオキバハネカクシ亜科に属する種の大部分は極度に発達した大あごをもつ.メダカハネカクシ亜科は発達した複眼を有する.
体表に関して言えば,点刻(小さな無数の窪みのこと)を有するものからまったく存在しない種まで知られている他,点刻の位置や分布,個々の大きさ,散布されている数なども種によって相当異なる.背面は柔毛によって密に覆われる種から粗く毛を散布する種,無毛なものまで幅広い. 表面に光沢を有するものから艶消し状まで多様である.艶のある光沢は微細構造,艶消し状の場合は鮫肌状や網目構造などによる.この他,表面構造として,皺(しわ)状あるいは皮革状構造をもつもの,隆起や瘤(こぶ),顆粒(かりゅう)などの特徴が見られる分類群も知られている.
頭部の形態は分類群により極めて変化に富む.多少丸みを帯びた強壮なカプセル状で前方へ突出し,通常,前胸よりも幅が狭い.細長い形状は稀である.表面が滑らかな場合もあるが,多くの例では点刻が観察され,時たま窪みや皺を装う.殆どの種は明瞭な頸(くび)(neck)をもたないが,頸がある種も確認されている.例えば,ヒゲブトハネカクシ亜科のDrusilla属やAutalia属は頸をもつ.
通常は複眼(compound eyes)を有する.目の大きさは大小様々で,場合によっては消失する.頭部の側面を中心に位置している.ヨツメハネカクシ亜科の種の大部分は単眼(simple eyes)をもつ.なお,土壌性や洞窟に生息する分類群の中には眼が退化したものも知られており,代表的な例として,今の所まだ日本における生息は確認されていないが,Leptotyphlinae亜科を挙げることができる.
触角は主に単純な糸状(filiform)や棍棒状(こんぼうじょう)(clavate)をしており,各節が円筒状の形態で基部から先端部にかけて連結している.ハネカクシ科の触角は3-11節で構成され,殆どの場合は11節であるが,いくつかの属では3-10節で構成されている(Newton et al. 2001).
長さも様々であり,伸ばした際に前胸(ぜんきょう)(prothorax)の半ばに届かないものから上翅の先端を超えるものを含むが,通常は上翅の真ん中付近までの長さである(Thayer, 2005).通常,第1節は他の節より長い.アリヅカムシ亜科に代表されるような触角が多かれ少なかれ球桿状(きゅうかんじょう)(capitate)を呈する分類群もおり,このような場合は先端部4節程度の形状が変化する(Newton et al. 2001).触角の形状は分類群によって差異があり,記載論文に形態的特徴として用いられる.
他の甲虫目の分類群では口器の詳細な形状を分類の形態形質に用いることはあまり一般的ではないが,ハネカクシ科では重要な形質となる場合が多い.特にヒゲブトハネカクシ亜科では,全体的な形態のみ以外でも,小あご髭などの毛の位置や長さが重要となる場合がある.
上唇(じょうしん)(labrum)は少なくとも部分的に外部から確認でき,種によって形態に差が見られ,多くの場合,先端部が窪んだ形をしている(図参照).
大顎(おおあご)[大腮(たいさい):mandible]は前方に曲がりながら突き出し,基部に於いて太く,先端部にいくに従い鋭くなる.大あごの先端部が鈍い仲間や,大あご自体を目で確認するのが困難な種も知られる.しばしば1個,もしくはそれ以上の端歯が観察される.
少顎[小顎(しょうさい):maxilla]は2つの独立した突出部から構成され,部分的に房状になっている小顎外葉(がいよう)(galea)及び櫛のような形状の内葉(ないよう)(lacinia)から構成されている.小顎髭(maxillary palpus; maxillary palpi(複数形))は通常4節から成るが,5節(ヒゲブトハネカクシ族)も見られる.小あご髭の形状は特にハネカクシでは分類に使える形質として重要な位置を占め,特に末端部の形状が注目される.
下唇髭(labial palpus; labial palpi(複数形))はそれぞれ3節から構成される場合が多いが,4節の場合もある(ヒゲブトハネカクシ族).
下唇(かしん)(labium)は形に富む.その他,下唇基節(mentum)なども重要な形態形質である.
前胸(prothorax)の上部(背中側)を指す.形状は変化に富むが,殆どの場合頭部より大きく,真ん中付近が最も幅広となる場合が多い.前胸背板の高さと幅の比などの前胸背板に関する情報も分類学的に価値があり,記載論文に種の特徴として入れられる場合が多々ある.表面に凸凹や縦溝などが生じて模様を呈することもある.
小楯板(しょうじゅんばん)(scutellum)は通常明らかに確認でき,表面に露出する部分は逆三角形の形状を有する.
中胸腹板(mesosternum)の特徴はヒゲブトハネカクシ亜科においては重要であり,種によっては中心線に沿って板状突起をもつものがいる.
後胸板(metasternum)は短く,横長から縦長まで形状に変異がある.
上翅は明瞭であり,全体的に硬化し,前翅として体の背面を覆う.これが未発達あるいは欠如した種は殆どない.
形態的に多くの場合,短く,先端部が切断状を呈する. Newton et al. (2001)によると,上翅が短い場合にはそれに伴い,腹部(6-7節)が露出する(つまり,背板の第1から3節までを覆い隠す).例外的にデオキノコムシ亜科やコケムシ亜科,ヨツメハネカクシ亜科の一部などは上翅が腹部のほとんどを覆い隠す.
飛翔する際には,上翅が揚力を生み出す他,方向転換などで重要な役割を果たす.
脚も分類学上有用な形態形質であり,脚の長さなどの特徴が記載論文によく用いられる.脚は基本的に細長い.多くの種において左右の前基節(procoxae)はそれぞれ近接した場所に位置し,それらは円錐形状に突出している.基節窟(きせつくつ)(coxal cavity)は通常閉じられているが,大部分のヒゲブトハネカクシ亜科に含まれる種は開いている.
前脚,中脚,後脚のそれぞれの附節の構成数が極めて重要な形質として認識されており,族や属などの分類に多用される.附節式:5-5-5の種が多いが,2-2-2,3-3-3(アリヅカムシ亜科など),4-4-4,4-4-5,4-5-5など,あらゆる型が知られている(Klimaszewski, 2000; Newton et al., 2001).
後基節(hindcoxae)の形状は亜科によって変化する.爪は一対で単純な形態であるが,アリヅカムシ亜科の中には爪が退化したものもいる.
後翅は膜状であり,基本的に無色透明,またはそれに近い色彩を呈する.多くの種は飛翔可能な後翅をもち,上翅の下に複数回折り畳んで収納する.翅脈はやや,もしくは極端に弱い(Newton et al. 2000).なお,通常の記載論文においては,後翅の形態に関して特段記述されることはあまりない.洞窟や土壌などの環境に適応した種の中には,後翅が退化縮小して飛翔能力を失ったものも確認されている.
腹部は通常10節で構成され,多くの種の場合,その内6-7節が露出する(Klimaszewski, 2000).アリヅカムシ亜科などを除いた大部分の種の腹部は背腹方向に柔軟に動く.背面側は背板(tergum, tergite)で構成され,腹部の面は腹板(sternum, sternite)で構成される.
腹部の側方(背板と腹板に挟まれた部分)にもparatergitesが見られるが,ほとんどの節でそれが欠如して同じ節の背板と腹板が融合し,リング状になる場合もある.
腹部のそれぞれの節は膜で繋がれており,蛇腹のように動くことで柔軟性を生み出す.第八背板や腹板は顕著な性的二型(sexual dimorphism)や種の特徴を示すことがあり(特に先端部の形や毛の位置,本数など),シリホソハネカクシ亜科,メダカハネカクシ亜科及びヒゲブトハネカクシ亜科の記載論文では特に図示されることが多い.第9節,第10節は交尾器と関連して変形する.
種を同定するにあたり,極めて重要な形態形質となる.最近の記載論文には交尾器(特に雄交尾器)が図示されることが一般的になっている.
雄交尾器:挿入器(aedeagus)は種や分類群によって多様な形状を有する.中央片(median lobe)の根本は多かれ少なかれ球根状になる場合が多い.交尾器内部の骨片(inner sac)の形状も分類学的形質となる.通常,2つの側片(paramere)を有し,先端部にはapical lobeと呼ばれる硬化した部分がある.
雌交尾器:しばしば硬化した受精嚢(じゅせいのう)(spermathecae)をもつ.その他の部分は膜状部が多い.雌交尾器及び腹部第10節は通常外部からは見えない.
研究者によって採用する体系は異なるが,一般的に知られている分類体系を以下に記す.日本にも産する亜科に関しては和名も併記する.世界から32亜科が知られ,日本には内21亜科が報告されている.
Glypholomatinae Jeannel, 1962
Microsilphinae Crowson, 1950
Omaliinae MacLeay, 1825 ヨツメハネカクシ亜科
Empelinae Newton & Thayer, 1992
Proteininae Erichson, 1839 ハバビロハネカクシ亜科
Micropeplinae Leach, 1815 チビハネカクシ亜科
Neophoninae Fauvel, 1905
Dasycerinae Reitter, 1887 ニセマキムシ亜科
Protopselaphinae Newton & Thayer, 1992
Pselaphinae Latreille, 1802 アリヅカムシ亜科
Phloeocharinae Erichson, 1839
Olisthaerinae C. G. Thomson, 1858
Tachyporinae MacLeay, 1825 シリホソハネカクシ亜科
Trichophyinae C. G. Thomson, 1858 ホソヒゲハネカクシ亜科
Habrocerinae Mulsant & Rey, 1877
Aleocharinae Fleming, 1821 ヒゲブトハネカクシ亜科
Trigonurinae Reiche, 1865
Apateticinae Fauvel, 1895 オサシデムシモドキ亜科
Scaphidiinae Latreille, 1807 デオキノコムシ亜科
Piestinae Erichson, 1839 ヒラタハネカクシ亜科
Osoriinae Erichson, 1839 ツツハネカクシ亜科
Oxytelinae Fleming, 1821 セスジハネカクシ亜科
Oxyporinae Fleming, 1821 オオキバハネカクシ亜科
Megalopsidiinae Leng, 1920 メダカオオキバハネカクシ亜科
Solierinae Newton & Thayer, 1992
Steninae MacLeay, 1825 メダカハネカクシ亜科
Euaesthetinae C. G. Thomson, 1858 チビフトハネカクシ亜科
Scydmaeninae Leach, 1815 コケムシ亜科
Leptotyphlinae Fauvel, 1874
Pseudopsinae Ganglbauer, 1895 スジヒラタハネカクシ亜科
Paederinae Fleming, 1821 アリガタハネカクシ亜科
Staphylininae Latreille, 1802 ハネカクシ亜科
全生物地理区に生息することが知られており,南極や北極などの極地方からも海浜性の種が知られている.ハネカクシ科の内11亜科が汎世界的な自然分布を示し,4亜科は比較的広範囲で見られる(Thayer, 2005).
ヒゲブトハネカクシ属Aleocharaのいくつかの種は生物防除の目的により,意図的に自然分布域以外に移入されている(Klimaszewski, 1984).
また,Moore & Legner (1974)は汎世界的な分布域をもつ12種ものハネカクシを目録にまとめており,ほとんど全ての種は家畜用の有機肥料や藁,あるいはそれに類似した物から見出されることから,家畜と共に分布を拡大したものと考察している.
前述の通り,陸地の大部分の環境に生息し,潮間帯(海中)から高山帯に至るまでの幅広い場所から発見される.森林内のリターや腐植土中に見られる種が特に多いが,樹上で生活する種や他の動物に寄生する種もおり,生息環境は極めて多様である.以下にその生息環境の例をいくつか挙げたい.
*上の写真は様々な環境にハネカクシが生息していることを視覚的に理解するために掲載した.よって,全ての写真の環境でハネカクシを採集した訳ではないことを断っておきたい.
広葉樹からなる天然林
スギ植林地(人工林)
日本に生息するハネカクシの大部分は直接,あるいは間接的に土壌と深い関わりをもっており,特に体表面の柔らかい幼虫期にあっては水分保持や潜入場所として土壌は不可欠である(柴田, 1985).
また,ハネカクシは一般的に小形で細長く柔軟な体をもっており,土の隙間などに潜り込むのに適していることから,土壌中の多様な環境に入り込んだものと考えられている(柴田, 1985).
ヒゲブトハネカクシ亜科の種の中には,特に土壌中に生息する種が多く,チビハネカクシ属Athetaを初めとして膨大な未記載種を抱えている.これらは主に土壌の表層に生息し,それぞれの環境に適応したハネカクシ相を形成する.
例えば,亜寒帯性針葉樹林,温帯広葉樹林,マングローブ林,人工林,ススキ草原,カルスト台地や溶岩台地など,調査地がどのような環境に属しているのかによって,発見されるハネカクシを含む土壌動物相は変化する(野村, 1993).
土壌性の種が極めて多いアリヅカムシ亜科の採集法は,平野(1984)の中で説明されている.
ヒラタハネカクシ亜科やツツハネカクシ亜科などに属する多くの種が生活場所としている.
クシヒゲハネカクシ属Velleiusの種はしばしばスズメバチの巣内から見出される(岩田, 2010など多数).
鳥類の巣内には排泄物や餌の残渣など様々な有機物があり,それを目当てに巣内に潜り込むハネカクシも知られている.例えば,フクロウの巣から得られたというハネカクシ8種の報告例がある(Majka et al., 2006).
日本から発見されている真洞窟性と思われる種はすべてハネカクシ亜科のツヤムネハネカクシ属Quediusの種である(柴田, 1985; 渡辺, 1968).但し,地上性の種や地下浅層に生息する種が洞窟内で見つかることもあり,注意が必要である.真洞窟性ハネカクシに関しては,岸本(2001)が簡単にレビューを行っている.北アメリカ(東部)における洞窟性ハネカクシ(cavernicolous Staphylinidae)のレビューも発表されている(Klimaszewaki and Peck, 1986).このレビューではヒゲブトハネカクシ亜科の種を扱っており,それぞれの族の特徴なども述べている.他にも,北米におけるヒゲブトハネカクシ亜科とアリヅカムシ亜科を除いたハネカクシの研究としてPeck and Thayer (2003)があり,好洞窟性ハネカクシ類の進化的起源についても触れている.
セスジハネカクシ亜科セスジハネカクシ属Anotylusなどが集糞性ハネカクシとして知られている(渡辺, 1982).
湿地や渓流沿いといった湿潤な,いわゆる水辺環境を好む種も多い.伊藤(2007)に複数の好湿地性の属が示されている.
全生活をキノコに依存する(キノコだけを食べる)真食菌性種(Mycetobionts),キノコ以外も食べる雑食性の好食菌性種(Mycetophiles),菌利用者(Mycetoxenes)が知られている(直海, 1992).シリホソハネカクシ亜科の種やオオキバハネカクシ亜科,ヒゲブトハネカクシ亜科,デオキノコムシ亜科などにこれらの種が包含される.
キノコに集まるハネカクシ全般に関しては林(1999)の解説がある他,オオキバハネカクシ亜科(説田, 2004)や食菌性のハネカクシ(直海, 1982)に関する邦文も発表されている.また,キノコと甲虫の関係については木村(1999)が詳しい.
あまり種数は多くないが,多様なハネカクシ科の中には訪花性を示す種も知られている.このグループは蜜や花粉の摂取が目的の植食性のもの,そして花に寄せられた小昆虫類を捕食する肉食性のものに大別される(渡辺, 1975).ヒゲブトハネカクシ亜科の種にも訪花性をもつものがおり,Kishimoto(2002)はこの中の1種ミチコヒメハナハネカクシOmoplandria gyrophaenula (Sharp)が花に来集している様子の写真を付して報告している.
アリやシロアリなどの社会性昆虫と共生関係にある好蟻性や好白蟻性といったハネカクシも複数知られている.中には,アリなどの発する体表炭化水素などを真似ることで巣内に入り込む種も発見された.
アリとの関係としては,アリ,蛹,幼虫,死体などを食べる捕食者,アリに害を与えずに巣内の食べ残しやゴミなどを食べるもの,特殊な分泌液を出してアリから食物を与えられるものなどがある(柴田, 1985).この他にも,アリの巣に潜む好蟻性ハネカクシを専門に捕食するオオズハイイロハネカクシPhiletaerius elegans SharpやツノヒゲツヤムネハネカクシQuedius hirticornis Sharpが知られている(丸山, 2006).
好蟻性や好白蟻性のハネカクシにはヒゲブトハネカクシ亜科の種が多く,日本でも代表的な好蟻性のものとしては,クサアリハネカクシ属Pella,アリノスハネカクシ属Zyras,ハケゲアリノスハネカクシLomechusa sinuata Sharpを含むLomechusa属がある.これらのような種の採集方法は,丸山(2003)が詳しく解説している.
ヒゲブトハネカクシ亜科ミギワ族MyllaeniniのエサキサンゴハネカクシBrachypronomaea esakii Sawadaは沖縄県石垣島沖合5キロの珊瑚礁の珊瑚塊の下から得られているが,一日あたりわずか2時間しか海上に露出しないそうである(Esaki, 1956).また,本族のナギサ属Bryothinusaの種は潮間帯性を示す.香港産の種の観察によると,干潮時に砂地表面に出現してヨコエビなどの節足動物を捕食し,満潮になる前に再度地中に潜ることが判明している他,満潮時には砂に潜った成虫は体表を密に覆う細毛の間隙に保持した空気を使ってプラストロン呼吸を行うこと特殊な生態が判明している(Wong& Chan, 1977).
このように,一般的に昆虫類が選好しない海という厳しい環境にも適応している種がハネカクシには複数存在する.これまで知られている海岸性ハネカクシの大部分はヒゲブトハネカクシ亜科の種であることが判明している(柴田, 1993).
ハネカクシを含む日本産の潮間帯性甲虫類に関しては新井ら(2004)の概説がある他,砂浜の微環境における甲虫相の違いについては端山(2010)の報告がある.また,北海道の海浜性ハネカクシは丸山(2002)が詳しく,河上・林(2007)は島根半島の海岸で得られた多くのハネカクシを写真付きで報告している.海辺に生息するハネカクシの概要は,柴田(1993)を参照されたい.さらに,渡辺(1974)は日本の潮間帯に生息するハネカクシについて,分類の歴史も含めて述べている.
最近になり,世界の海浜性ハネカクシのリストが発表された(Frank & Ahn, 2011).この目録によると,日本からはアメリカ合衆国の79種に次ぐ57種が報告されており,日本における海浜性ハネカクシの多様性が高いことが示唆されている.
あらゆる環境に適応していることから,様々な採集法を試みることが出来る.ハネカクシ類の詳しい採集法に関しては,直海(1981)及び柴田(1983)を参照願いたい.
人間の目で虫を探して捕獲する方法という基本的な採集法である.ハネカクシ類は隠蔽(いんぺい)的な環境を好むことから,多くの種の場合はあまり効果的な方法とは言えないかもしれない.しかし,腐肉などの腐敗物,樹液,花やキノコに集まる種など,何らかの物質に誘引された個体を採集する場合などには有効となる.また,樹皮下に潜む種や海浜性種も通常は肉眼で採集する.
ハネカクシは体長数ミリほどの小型種が多いので,直接手で摘むのではなく,吸虫管を使用するのがよい.大きな種は直接毒瓶に放り込むが,小さな種は仕分けをして別の容器に入れる.本当に小さい種はエタノールが入った小さい瓶に生きたまま入れ,破損しないように液浸状態にしてから持ち運ぶと標本の価値を損ねることがない.
ふるい法(ハネカクシの基本的な採集法),サーチング,ルッキング,樹皮剥ぎ法,など.
*通常の昆虫採集で一般的な,ネッティング,ビーティング(叩き網法),およびスウィーピング(掬い採り法)などは,本科の採集法として一般的ではない.
ハネカクシ採集には欠かせない採集法として知られており,直海(1981)や柴田(1983)などで既に詳しい解説がなされている.文字通り,フルイを使った採集法である.やり方としては,まず,白い布や叩き網(ビーティングで用いる)を地面に敷き,その布などの上で落ち葉や腐植土などを入れたフルイを使ってハネカクシを布上に落としていく方法である.園芸用の5~6ミリ目の金属製フルイが特に便利である.
この採集法では,どこの場所のどのような環境で土を篩うのかが重要となる.というのも,その場所がある気候や植生,標高,湿り気具合などにより,構成種が大きく異なるからである.一般的には,人工的な針葉樹林よりも広葉樹林などがよく,やや湿り気のある場所が適している.
ヒラタハネカクシなどの倒木樹皮下や朽木中に潜む種を採集する方法である.小型スコップよりも植物採取用根堀がより便利である.ホームセンターなどで販売されている.
無人で昆虫を採集してくれるトラップ類は,ハネカクシ採集に非常に有用な存在として近年急速に台頭してきた.特に近年では衝突板トラップ(Flight Intercept Trap; FIT)が圧倒的な存在感を放っている.
本稿ではトラップの概要だけを述べたい.
飛翔する昆虫類が地面に対して垂直に立てられた透明な板に衝突し,地面に置かれた水溶液の入った容器内に落下するという性質を利用したものである.地面に設置するタイプが一般的であるが,近年は樹木に吊り下げるもの(渡辺, 2009;野村, 2010c),電池式蛍光灯(野村, 2010a)や腐肉などの昆虫誘引物を同時に設置する型も使われている.
場所の選定は重要であり,例えば,アリの巣周辺にFITを設置すれば好蟻性種が得られるなど,設置場所によって得られる種や個体数が大きく変わる.衝突板トラップは手軽に作成できる上に,通常の採集では得にくい種が得られるなどの利点がある他,特にハネカクシ科甲虫が多く捕獲される(堀, 2009).パナマ運河の島で行われた調査によると,FITによる調査で得られたハネカクシの内,特にヒゲブトハネカクシ亜科の割合が57.5%と際立って高かった(Chatzimanolis et al., 2004).
落ち葉などのゴミが水溶液に混ざらないようにするために,トラップに屋根を付けたものがあり,丸山(2006)でその作成方法などが詳しく紹介されている.
本トラップを使用した調査が皇居で行われ,詳細な報告書が発表されている(野村ら, 2006).また,野村(2010b, 2010c, 2011)はFITについて多面的な解説を行っている.
正の走光性を示す種に対して有効である.灯火採集には光源として,紫外線を発するブラックライト,誘蛾灯や水銀灯,あるいは蛍光灯を使用するのが一般的な方法として知られている.条件が良ければ多種多数のハネカクシが飛来する.
個人的には水銀灯およびブラックライト併用型の効果が高いと感じている.とはいうものの,あまりにも光源が強すぎると小さな虫が寄りにくい面もあり,対象の虫に応じたトラップを設置する必要がある.点灯中は虫の飛来するスクリーンだけではなく,周辺の樹木なども念入りにスイープするとよい.
市販のテトロンゴース(白い布)の上に草,ササ,シダなどをのせて布を覆い隠し,その草の上から水に溶かした尿素CO(NH2)2を振りかけてハネカクシを誘引する方法である(直海, 1981).
地表性のオサムシなどを採集するのに適した方法として有名であるが,この罠でも複数のハネカクシが得られる.餌はサナギ粉を使用するのがよい.
水の入った黄色い平たい容器(パン)を野外に放置しておくと,様々な昆虫がその中に落ちる.ハネカクシの主な採集法とは言えないが,ヒゲブトハネカクシ亜科Plesiochara属の種など比較的採集しにくい種が得られている.
テント状のトラップであり,入り口から内部に迷い込んだ昆虫が上方の隅の方に集まるという性質を利用している.ハネカクシ採集に適した採集法ではあるが,装置が衝突板トラップと比較して大きいことや費用の面でも高価であることから,あまり初心者向きではないかもしれない.
ハネカクシは地表の落ち葉下や腐植質などの表層土壌を好むことから,ツルグレン装置(ベルレーゼ装置)の使用も効果的である.この採集法では,ハネカクシ類が多く潜む土壌(リター層)を採取し,装置内で土壌を乾燥させることなどによって,昆虫にとって厳しい環境を作り出し,土壌中から脱出してきた虫を抽出する方法として知られている.
効率の高い装置であるが,ツルグレン装置は大きく携帯するのは困難であり,調査先では簡易ベルレーゼ装置であるウィンクラーがよく用いられる(写真参照).
この装置内には土壌資料の入ったメッシュ袋が入っており,この中に潜んでいる土壌生物が資料の乾燥に伴い装置下に設置しているコップ内に落ち込む.湿らせた布などをコップに入れておけば,虫サンプルを生きたまま回収できる.この際,回収は数時間ごとにまめに行い,虫同士が共食いするのを防ぐ必要がある.抽出した虫は吸虫管を使って採集する.
一般的な採集法ではないが,殺虫剤を樹冠に散布して地上に落下した昆虫を採集するフォギング法(Fogging)も樹上性の種に対して活用できる.トラックトラップ(Truck Trap)は,車の屋根にネットを取り付けて走行し,網に入った虫を採集するという変わった採集法として知られている.腐肉や腐った果実などに集まる種に対しては腐肉トラップや果実トラップも実行出来る.
採集ラベルに時たま見られるLTやPTなどの文字は,上記の採集法の頭文字を取ったものを指す.
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